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ニューヨークのコミュニティに寄り添う。そして、これからも“聴”いていく。

10/10/2015

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五回目のインタビューは、アレクサンドラ(アレックス)・ベア・シェンク。
18歳の長女は今年から大学へ、12歳の長男は、ミドルスクールの7年生。

児童教育をミッションとするアレックスは、大学卒業後、児童教育専門の大学院として有名なバンク・ストリート大学院で修士号を習得。児童教育に関わる者として、特に障害を持つ子供達の傍に寄り添う。
ご主人は、ジャーナリスト/作家として日本でも翻訳本が出ている、デイビット・シェンク。2001年に出版した、アルツハイマー病を詳細に取材し分析した話題の本、「The Forgetting(フォゲッティング)」(日本未発売)は、米国社会のアルツハイマー病への理解に一躍買った。
 
大学で英語文学、大学院で「児童教育:リタラシー(読み書き能力)」を専攻したアレックスの言語への情熱は、インタビューの応答が、小説を語っているようだったことからも感じられる。
 
ニューヨークの子供達/家庭に関わり、子育てをしてきたアレックスのワークライフバランスストーリー。

 ー 出産前の仕事をおしえてください。
 
サブシダイド保育園(市から補助金が出ている保育園)で5歳児を教えていました。授業料が私立より低くく、市から補助金を得て通園させている家庭の子供達も通っています。
 
 ー なぜサブシダイド保育園を勤務先に選んだのでしょう。
 
私は小学校低学年の三年間を、ワシントンD.C.にある公立小学校で過ごしました。その学校で白人の女児は、全学校で私だけでした。私の親は、公立教育を信じて、学区の公立学校に子供を通わせることに疑問を持たなかったのです。
私はその学校に通いながら、子供心ながらに、人種間の経済力のギャップや家庭での教育に対する考え方/価値観の違いなどを感じました。結局3年後には私立校に転校することになりましたが、その経験は、経済的に恵まれない家庭の子供を目の当たりにするきっかけになったのです。
​
そして自分の兄のこともきっかけでした。私は五人兄弟の末っ子で、上に兄が4人います。その内の一人の兄は精神的に障害がありました。兄にとって、普通の学校は全てが早く動きすぎ、早く進みすぎ辛い思いをしているのを知っていました。
こういう自分の経験から、どんな子供も公平に教育が受けられることに関わりたい、と思っていたのです。
 
 ー 子供を産む決意をしたのはなぜでしょう。
 
結婚して子供を産まないことは考えていませんでした。30歳で子供を産む決心をしたのは、私と主人の両親が元気なうちに子供を産みたかったのです。私にとって祖父母の存在はとても大切でした。それに、おじいちゃん、おばあちゃんがいると家族が増えて楽しいでしょう。
 
 ー 出産後、仕事はどうされましたか?
 
長女を産もうと思った一年前から、仕事をしながら自分で子育てが出来る環境を整えていきました。出産後は、保育園の仕事は辞めて、学習障害のある子供達を含め読み書きを教える家庭教師をしました。卒業した大学院からの紹介や、私が教えた子供達の親からの口コミで個人の教育者として、子育てとのバランスがとれる量の仕事はありました。
 
 ー なぜ自分で子育てをしたいと思ったのでしょう。
 
保育園に迎えに来る親達が、仕事のストレスで子供達に声をかける元気もない様子を見ていたこと。そして自分の子供時代の経験です。私の親は、子供が多いことに加え、障害を持つ兄に精一杯で、私にあまり注意を払えず、私は子供ながらに、親に甘えてはいけないことを察していました。私は自分の子供には同じ思いはして欲しくなかったのです。
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 ー 日本に長期滞在した経験をお持ちとのことですね。その時の印象や体験を聞かせてください。
 
長女が18ヶ月の時に、主人の仕事で二ヶ月間、東京、西麻布に住みました。
まず気がついたのは、女性が美しいこと。完璧な髪、肌、体型、洋服。。。ただ他人の目を気にして外見に執着しているようにもみえました。
公園で娘を遊ばせていたある日、一人の日本人の母親と話をする機会があったのですが、彼女が「日本では、子供が学校に行くまでは母親が囲って育て、学校に入ると厳しいグループ重視教育が始まる」と言いました。私は「囲って育てる」方に驚きました。グループ重視教育の方は察しがついていたからです。アメリカは子供中心に家族が動きますが、「囲って育つ」とはニュアンスが違います。
子供の叱り方にも違いを感じました。日本のお母さん達は、「周りに迷惑だから」、とか、「恥ずかしいから」と周りを気にして叱っているように思いました。アメリカでは、人に迷惑をかけていたら注意します(叱るのではなく)が、恥ずかしい、という理由で注意することはないですね。

そうそう、とても驚いたことがあります。駐在で日本に赴任している欧米家族とも知り合ったのですが、母親達が、フィリピン人のベビーシッターに子供を預け、生け花、習字、ヨガなどの教室に行っていました。NYでは、シッターに預けるのであれば働くか、ボランティア活動をするかして社会に関わります。その駐在妻達は、私にとって、同じ教育を受けた欧米人の女性として初めて遭遇した人達でした。その当時、私は33歳だったので自分の狭量さでそう判断したのかもしれないけれど、今は、仕事をせず子供を預けてカルチャー教室に通う女性達の気持ちも理解できるかもしれないです。
 
 ー 日本で子供を産まない選択をする女性が増えています。それについてどう思いますか。
 
日本では社会が求める母親の役割/像があると聞きます。外でバリバリと仕事をしてきた女性が母親になると、社会での存在が希薄になったと感じるのでしょう。と同時に、繁殖する機能を使わないことに対して複雑な思いもあるのではないでしょうか。
 
結局は個人の選択です。子供がいないから社会に貢献していないなどと思って欲しくありません。子育ては女性だけでなく、男性の仕事や生活の犠牲をともないます。もし子供がいなかったら私のキャリアも違っていたと思います。

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 ー 二人目を持つか悩んでいたそうですね。
 
私は、自分の子供に十分な注意を払って育てたいと思っていました。子供が小さいうちに二人以上いては、私の注意が分散してしまい子供に申し訳ないと思ったのです。

主人の「The Forgetting」が2001年の9月10日に出版され、9月11日はテレビインタビューやサイン会などが予定されていました。そして9月11日。同時多発テロが起こったのです。本の取材を通してアルツハイマーで家族の記憶を失う人達をずっと追い続け、そしてテロで命が一瞬で失われてしまう儚さを目の当たりにし、命の大切さを思い知ったのです。そして気がつきました。二人目の命をこの世にもたらしたいと迷っていたなら「何を待っているの」ってね。
 
 ー 二番目のお子さん出産後、お仕事はどうされましたか?
 
長男が五歳の時に、私立の保育園で二歳児の子供を担当しました。長男は小さいときは身体が弱かったので、自宅からも近く、半日の勤務体制が私にはぴったりでした。
 
朝定時に起きて仕事の服に着替え外に出る。外での仕事はメリハリがつきます。家事はすればするほど出て来て終わりがなく達成感がありません。外で仕事をすることは精神的にも良いと思い、6年続けましたが、この夏に退職しました。
ニューヨークの母親達は完璧主義です。仕事、子育ても楽な方法を選ぶと手抜きをしたようで罪悪感を感じるのです。両方とも完璧にこなしたくて必死に動いているのに、それでも葛藤を感じてしまう。子供と十分な時間がとれているのだろうか、仕事は、自分の得意分野の枠を飛び出して挑戦しなければいけないのでは、とか。常に自問自答です。
心身とも疲れ体調を崩しがちなり、仕事からは少し離れることにしました。
 
 ー 子育てで一番のチャレンジは何だとお考えですか?
 
精神的、身体的に常に変る子供達と彼らを取り巻く環境に対応することかな。例えば、ニューヨークでは親が子供を一人で歩かせません。長男は今12歳ですが、同級生で、一人で地下鉄に乗せない、歩かせない親はまだいます。親が子供に同行する年月が長く、親は常に点を移動し時間に追われる。やっと一人で行動する年になると思春期、そして大学進学です。大学進学前に、子供はボランティアや、海外に留学して地元コミュニティへ貢献するような活動をしますが、そのサポートをするために、家庭は子供中心のライフスタイルになります。精神的サポートもどの年代でも重要です。
 
 ー ご長女が大学進学で巣立ったことでの喪失感、離職、更年期を控えているなど、環境と心身的な変化を感じて難しい時にいらっしゃると思います。仕事と子育てを振り返って今モットーとされていることは何でしょう。
 
子育てに対して強くこだわりながらも、仕事は続けて来てよかったと思っています。今、仕事から“休暇”をとっている感じですが、幸い戻りたい時に収入を得られるキャリアを積んできました。やはり自分で収入を得る力を持つことは大切です。
 
おっしゃる通り、女性として心身的な変化を感じています。これまで、常に話している生活をし、移動し、時間に追われてきた。これからは、“聴く”ことを大切にしていきたいですね。
​例えば、今日このインタビューも、「1時から2時半まで」でスケジュールを組み、次に予定を入れていました。でも、あなた(インタビュアーの私)との会話を心から楽しみたいと思ったのです。今、心を落ち着かせてあなたと会話しているうちに、自分を再発見しているように思います。
そして、詩を書き始めています。私は、言葉、文字のもつパワーにいつも魅了されてきました。詩を通しての表現は心を落ち着かせてくれるのです。
​(次回は11月11日に投稿予定です。)

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