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専業お母さんから、盛り付けデザイナーへ。50代からの出発。

9/3/2016

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今回のブルックリンママの選択は、10月にブルックリンで教室を開く、盛り付けデザイナーの飯野登起子さん。
 
私が飯野さんと出会ったのは、4年前の2012年の夏、共通の友人が開いた神宮球場の花火観覧パーティでした。(その頃、私は、主人の仕事の関係で、家族で4年弱、東京に住んでいました。)
 
近くで花火が見える中、飯野さんは、大勢の人で賑わうお部屋の角に、落ち着いた佇まいでご主人と一緒に座ってらっしゃいました。お互いの目があい、自分達を紹介した後、飯野さんは 「盛り付けデザインをしています」と、お仕事の説明をしてくれました。その時の言葉一言一言に飯野さんの仕事への想いと意志を感じました。

飯野さんと私は、不思議なご縁がありました。
 
パーティを主催したその共通の友人(アメリカ人)は、私の主人の同僚。彼女は東京支店に赴任になったものの、日本のビジネスカルチャーに慣れずに戸惑っていました。そんな時に手にした本が、何と飯野さんの親友でコンサルタントのローラ・クリスカさんが書いた本でした。そして私は、ローラとは、ブルックリンで同い年の息子を通じて、お互いの自宅で会っていたのです。そう、ローラを軸に、地球の反対側で、私達は繋がっていました。



Picture娘が作ったチーズケーキ
私達家族は、東京生活を終えて、2014年夏にブルックリンに戻りました。その年の冬、飯野さんはローラを訪ねてブルックリンにいらっしゃいました。我家でのディナーにもご招待したのですが、約束の時間になっても一向に現れない。飯野さんは一人でニューヨークを意欲的に歩きまわっているので大丈夫、と思っていても、初冬のNYの午後6時はもう真っ暗。
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やっとドアベルが鳴って、ドアを開けた時、飯野さんの表情から、我家への道中に 色々なことがあったことが判りました。週末だったので地下鉄のスケジュールが代わり、我家の駅を通り越してしまったこと。降りた駅は、ちょっと危なそうなエリアで、それでも思い切って、目の前を歩いていたお子さん連れのご夫人に、我家の駅までの来方を聞き、そのご夫人が丁寧に教えてくれたことなど。
 
その日は、偶然にも飯野さんのお誕生日。わが娘は、飯野さんのためにお得意のチーズケーキを作っていました。沢山のベリーを上に載せて、キャンドルを立てて「ハッピーバースデー」ソングを歌いました。飯野さんがローラ宅に戻った後、ローラから「みき。登起子はとても感動して戻ってきました。本当にありがとう」と連絡がありました。

それからちょっとして知りました。飯野さんは、娘さんが八歳の時に、娘さんを亡くされていたのです。少し前まで飛び回るほど元気だった娘の突然死・・・。
私には、自分の子供が、その瞬間まで元気だった自分の子供が、突然いなくなってしまうことの想像ができません。飯野さんとご家族の辛さは言葉で語り尽くせなかったに違いないです。
「周りの人に本当に助けていただいた。家族だけでは、立ち直れなかったと思います」と飯野さんはおっしゃいます。
 
最近のFacebookに、飯野さんはこう書かれています。
​『今日は娘の13回目の命日、8歳で旅立ったので、生きていれば、もう21歳、少し心配な年頃だけれど頼もしい女性になっていたのではと想像します。特別な事はしません。何のために生まれて、何故3000日ぐらいで亡くなってしまったのか、そして私は何のために生まれて、20000日近く元気に生き続ける事が出来るのか・・・生きている事、生かされている事に感謝し、今年もお墓参りに行ってきます。』
 
飯野さんから感じる力強さ、大地感は、生への強い感謝なのではないか、と私は思います。そして、飯野さんが、お皿に盛りつけた食材やお料理が、それぞれの色を放ち輝いているのも、生命への感謝、なのかなって。
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鎌倉生まれ、鎌倉育ちの飯野さんは、多摩美術大学デザイン科グラフィックデザイン専攻を卒業された後、グラフィックデザイナーの粟津潔さんのアシスタントとして3年働きます。
出産を期に専業お母さんになり、ご主人のお家に入って、ご主人のご両親とお姉さん家族、12人3世代3所帯大家族の同居生活が12年間続きました。

お子さんは男の子二人。次男が高校生になった時に、家でできる仕事がしたいと考え、食べることが大好きな飯野さんは、テーマを決めて持ち寄りの料理研究会を毎月開催、それを80回以上開きます。プラス、green食堂という架空のおもてなし食堂を定期開催し、おうちに人を呼び、おもてなしをして、こちらも100回近く開店。
専業お母さんをしながらも、展覧会などに足繁く通い、ご自分のアート作品も作り続け、それが今のお仕事につながりました。こうやって少しずつ、でもコンスタントに続けてきて、「子供の手がかからなくなった時は爆発した」と自らおっしゃるように、盛り付けデザイナーとして、意欲的な活動、取組みを始めます。

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盛り付けデザイン教室の様子と、おもてなしパーティディスプレイ
私は、働く母として先輩の飯野さんから大きな刺激を受けました。
 
私も働く母としてNYで10年を過ごしました。私が 子育てに集中しても経済的に大丈夫だったけれど、私は出産後も、どうしても仕事を続けたかった。15歳でアルバイトから始めた私は、仕事をする自分にアイデンティティを見いだしていたんだと思います。仕事で成果をあげ、評価され、沢山の人と知り合う。それが、出産を期に、なくなってしまうことがとても恐怖でした。でも子供に申し訳ないと思う時も沢山あった。出張が多い仕事で、家にいれない日も沢山ありました。出張の日は必ず二人の子供のどちらかが熱を出しました。息子が3歳のある日の朝、出張に出る準備をしていた私に、息子は、「マミー、着替えさせて」と頼んできた。私は忙しく、「自分でやってちょうだい」と、声を荒げてしまった。その日から息子は私に着替えを手伝って、と頼まなくなりました。
 
主人の東京赴任が終わって、NYに戻ってきた時には、娘14歳、息子11歳。思春期に入った娘、難しい時期に環境が二回も代わった子供達に向き合いたい、そして家の改築などもあって、私は専業主婦になる決心をしました。もう40代も後半でした。「これから数年後に就職することは出来るのだろうか」と、不安になる毎日。
 
そんな時に、飯野さんのような女性が、心の支えになっていました。
子供の手が離れた50代に仕事を始めた女性がいる。会社に勤めるのだけが仕事ではないはず。家にいても、自分で何かできる。そう自分に言い聞かせました。そして少しずつ、興味のあること、出来ることから始めて行きました。
飯野さんは、自由大学の「生き方デザイン学」という講義のゲスト登壇でこうお話されています。
『自分が育児を通して皆さんにお伝えしたいのは、人生の先のイメージを持つこと。子育て真っ只中の方には中々イメージを描きにくいかもしれません。子供が大きくなって手がかからなくなってからやろう、ではなく、子供が小さい頃から、イメージを持つと良いかと思います。5年後をイメージして設計してみる。自分は、その時に何ができるのか、頭の中だけではなく、書き出してみることをお勧めします』。
 
私は、飯野さんに伺いました。女性に母親になることを勧めますかって。
飯野さんは、「その人の置かれている環境や、選択なので、こうした方が良い、ということはあえて言いません。でも、できるなら産んで欲しいかな。出産という素晴らしい女性しか味わえない瞬間、子供を持つことで、瞬間瞬間に色々な体験をするのです。毎日変わっていく自分の子供と、どう向き合っていくのか、常に考えます。そして成長していく彼等を見る時の感慨や喜び。それは子育てを通して得られるものだと思います」。娘さんを亡くすという悲しみを経ても、こう言える飯野さんに、人の本当の強さを感じます。
Picture下鴨茶寮、新宿伊勢丹のディスプレイ
​今、飯野さんは、東京の自由大学で『おうちパーティ学』『おいしい盛り付け学』の講義を持たれています。そして京都の老舗、下鴨茶寮の新宿伊勢丹のディスプレイや、広島、愛媛、富山、山口県などの地方創生関連、素材や郷土料理をデザイン、発信するお仕事などをされています。
また、尾道自由大学では『盛り付けデザイン学』の、その特別編として島根の窯元を巡ったり、出西窯の器に、地元の食材を使った料理の盛り付けデザインのツアーを行いました。
尾道自由大学Design Science for Styling Dishes:

 
9月18日(日)には南青山の一軒家のシェアオフィス FARO(ファロ)にて「食」と「職」をテーマに開催されるイベントGOCHISOTABLEの盛り付けデザイナーとして、料理研究家の料理を 斬新な盛り付けデザインで披露されます。
 
「息子世代の若い人達と同じ舞台で仕事が出来るのはとても嬉しいこと」と肩に力を入れることなく、確実に活躍の場を広げていらっしゃる飯野さん。
 
生に感謝し、命をくれる食に感謝し、食材や料理、そして器を魅せることを日本中で伝えて廻る飯野さんが、この10月にニューヨークにいらっしゃいます。
10月23日(日)に、飯野さんの盛り付けデザイン教室がブルックリンで開催されます。教室の詳細はこちらから。参加にご興味がある方は、早めにお申し込み下さい。


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