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本当のニューヨークは郵便局の中

1/31/2016

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ニューヨークはいつもエネルギッシュで活力に満ちあふれている。道歩く人達も『自分が物語の主人公』的に堂々と大股でスマホみながら歩いてる。

大雪で雪が積もって、ゴミの回収が10日ほど来ないのも、地下鉄が当てにならないのもご愛嬌。インフラアップデートがされてない、でこぼこ道も「世界一経済大国の最大都市の道なんだよなぁ」、と思いながら、これで機能しているところが凄いよなぁと逆に感心したりする。

でも‥、久しぶりに郵便局に行って、なおざりな公共サービスを利用した時、ニューヨークの表の顔とそうでない顔のギャップを久々に感じた。

窓口が5つほどあるエリア郵便局に行くとしよう。5つの窓口のうち、スタッフがいるのは運よくて3つ。そしてスタッフはテキパキ動かない。日本の郵便局で一人のスタッフが5人のカスタマーをさばく時間を、多分一人に費やしている。なのでいつ行っても長蛇の列で、まあ一時間は待つことを覚悟しておいた方が良い。

こんな感じだから、郵便局に行くのを極力避けていた。荷物配送ぐらいなら民間の配送センターみたいなところが、郵便局の集荷もしてくれる。切手もそういうところで売っている。
ところが先日私書箱の申込みをしようと、オンラインで用紙に書き込み、「よかった〜、郵便局に行かないで済んだ!と思って、『申込をする』をクリックしたところ、「番号と鍵は郵便局へ」というメッセージ! あー、郵便局行き、免れなかった。

仕方ないので行った。案の定、長蛇の列。一時間ほど並んで、ようやく自分の番になった。空いた窓口のスタッフが、「ネクスト!(次!)」とシャウトしている。「お次の方どうぞ」ではないのだ。でも、こんなことではもうイラっとも来ない。
「私書箱の鍵取りに来たんだけど」と告げると、「Go to window 5ー命令形も直訳すると”窓口5番に行け”」。5番窓口は、さっきから一人のカスタマーに30分も費やしている一番避けたい窓口。私は、横から、「鍵、取りにきたんだけど」とボソっと言ったところ、「あんた、列に並ばなきゃダメよ」。「え、もう一時間も並んだわよ。1番窓口が5番に行けっていうから」と、イライラ感情は表に出さず、事実を淡々と述べると、「あー、あのスタッフやり方判らないのね。じゃあ、このお客さんの後するから待ってなさい」と、そこでまた待つことになる。

やっと私の番になった。それなのに、彼女はチップス食べたり、後ろで荷物整理しているスタッフに「これ美味しいわよ」なんて世間話している。後ろを振り返り喋る度に手がとまる。「そういうことは、私を終わらせてからやればいいじゃない」とイラっとは来るが我慢。あげくの果てに、私の後ろにいた若い男の子が荷物を取りに来たと判ると、「あ、私書箱の荷物ね。今見に行ってあげる」と、私の手続きを置いて、重い腰をあげて(本当に腰が重い)、その荷物を探しに行った。5分後に戻り、「ごめん。みつからないわ」だ。

私を終わらせてから対処すればいいじゃないか。でもそれも、こっちの常識。彼女は、「私は安給料で一生懸命やってるのよ。チップスだってドリンクだって飲みたいわよ。それに親切心で、若い子の荷物も探しに行ってるしマルチだわ」と、思ってるだろう。

こんな時でも、カスタマーは怒ってはいけない。怒ったところで何も生み出さないからだ。怒ってもサービスは改善するわけではない。「マネージャーを出せ」なんて言ったら、「What are you talking about? 何言ってんの?」と鼻で笑われて終わりだ。
それどころか、スタッフを怒らせて喧嘩でもなったら、また時間がとられるし、悪いサービスが更に悪くなって、書類を提出してくれるのか逆に不安になってしまう。
こっちは冷静沈着。笑顔をたやさず、ちょっと冗談も言ったりして。

やっと鍵を渡してくれた時、「あんたの私書箱きれいに拭いといたわ」と笑顔で言ってくれた彼女。そう私の我慢と忍耐が、彼女ができる限りのサービスを引き出したわけです。「サンキュー」と、私が郵便局を去ろうとした時、長時間立ちっぱなしで腰が痛い。私書箱の鍵をもらうだけで、一時間半費やした。

でもそういう時に、ニューヨークの素顔を見る気もする。だって郵便局は地下鉄と同様、頻度は違えど利用せざるを得ない施設。皆平等にその列にならぶ。

郵便局の職員も毎日一生懸命生活している市民。物価高のニューヨーク、地価が上がりっぱなしのニューヨークで、彼らは子供を学校に行かせ、遠くから通っているんだろう。窓口に置かれている彼/彼女達の子供の写真をみると、こういう想像を勝手してしまいたくなる。
​
去年、娘がエッセイコンテストに申込んだ時、その日の消印があることが条件だった。急いで郵便局に行き長蛇の列を経て、ようやく順番が回ってきた時は、午後5時を過ぎていた。もうその日の消印は過ぎてしまった。

その窓口の担当者は、「今日の日付を押しておくよ。君が有名なライターになったら、今日のことを書いておくれ」と、冗談も交えながら印を押してくれた。この言葉は、娘にとって大きく響いたに違いない。

ニューヨークに来たら、郵便局から絵はがきを出してみてください。
生活するニューヨーカーの姿を垣間みれると思います。
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