今回の『NYお宅キッチン拝見』は、イボンヌとジョシュのお宅。 玄関のドアを開けると、フロア全体に、ガラス張りのリビングからの光が注ぎ込んでいる。 光に呼ばれるように中に入ると、リビングの前にあるフレンチカントリー風の暖かみのあるキッチンが広がる。 ところどころに夫婦のこだわりを感じるのだけれど、日々の生活の風景も感じさせ、とってもウェルカミング。いつも友人達が夫婦を訪れキッチンに集まる。 キッチンと食へのこだわりを、イボンヌに聞きました。 ![]() 家族が一番喜ぶ、あなたの得意料理はなに? 主人が大好きなのがシュリンプ&グリッズ(Shrimp and Grids)。 アメリカ南部の伝統料理なの。私が一時、ノースカロライナ州に滞在した時に覚えた味なのよ。 それと娘のために、韓国料理を作るようになってその中でもジャプチェが好評です。(母親の選択12月号をご参照ください) 自宅で、他にどんな料理をつくりますか? イタリアン、韓国料理、アルゼンチン料理、イラン料理かしら。アルゼンチン料理はどんな料理か、ですか? イタリアンに凄く似てます。 イラン料理ってどんな特徴があるの? ペルシア料理が得意な友達が教えてくれて、それから凄く好きになったの。 中東/地中海料理の要素もあるけど、でも他の地域で味わったことがない味よ。シチューがとっても美味しい。サフランとライムを沢山使います。 NYで好きなイランレストランはある? イランレストランは特にないけれど、ブルックリンのベイリッジにある中東料理レストランのタノリ—ン(Tanoreen)は最高よ! 今は有名になったけれどね。ラム料理が多いの。 ブラジルに4年暮らしていた時は、肉料理が多かったのかしら? ブラジルはシーフード料理が多いのよ。でも私がブラジルにいた時はまだ10代で、魚があまり好きじゃなかったけれど。 ブラジルの定番料理といえば、ブラックビーン&ライス。豆の中に沢山の肉が入っているわ。 ![]() 好きな料理本がありますか? 料理の本ってトレンドなの。人気本はいつも変るわ。今、人気があるのは、地中海料理シェフのヨタム・オットレンギ(Yotam Ottalengi)。彼のロンドンのレストランにはまだ行ってないのだけれど。 沢山の料理本を持っているけど、それぞれの本からだいたい1〜2のレシピを使うかな。一番レシピを多く使うのはユニオンスクエアカフェの料理本です。 食材を買う時にこだわっている点は? 私は外国を旅した時に、現地で食材の買い物をするのが凄い好き。ニューヨークでも、本場の食材にこだわると、中華料理だったら中華街、韓国料理なら韓国街、他にもインディアン街、ロシアン街などそれぞれの料理の地域の店が集まるエリアに足を運ぶのが好きです。 お肉はどこに買いに行くの? コートストリートのスタウビッズマーケット*(Staubitz Market)に行きます。 *1917にスタウビッズ氏が始めたお肉屋さん。現在でも営業している食関連のビジネスとしてNYで最も古いお店の一つ。 ![]() キッチンの中で一番好きな道具はなに? バイキングのガスコンロ(Viking Range**)です。 このコンロは最高よ。火の調節が絶妙なの。4つバナーがあるでしょう。このバナーの大きさは皆同じなんだけど、1つずつが強弱の火力調節できるので、バナーの大きさを違える必要がないの。**バインキングコンロープロ使用ガスコンロを家庭使用に開発されたコンロ。アメリカミシシッピー州の会社。 別荘にGE(ジェネラルエレクトリック社)のコンロがあって、大きさの違うバナーが4つあるんだけど、一番小さいバナーを使っても煮込む火力の温度調節はいまいちだし、大きなバナーで火力を最大にしても、凄く強い火力が必要な料理にはちょっと中途半端なのよ。 このバイキングのコンロには適わないわ。 キッチンの中で一番のこだわりは? 実は、キッチンキャビネットの扉なの。このキャビネットは職人の手作りで、扉がまさにこだわりなのよ。 普通、扉って、キャビネット全体を覆うように閉まらない? でもこの扉は、枠の中に納まっているの。初め、私も気がつかなかった、「なぜキャビネットがアンティークぽく見えるんだろう」って。この扉のつくりが手作りだからだ、って後から気がついたわ。 ![]() キッチンから見える外の景色、天井のむき出しのビームとキャビネットが絶妙にマッチにして、フレンチカントリーキッチンのような雰囲気に仕上がっています。 実は私達、この2軒先に住んでいて、キッチンのレノベーションをしたいね、と夫と話していたの。私のこだわりは、手作りのキッチンキャビネットだった。 でも大量生産キャビネットに比べたら手作りは価格が全然ちがう。 夫は、私に「諦めて」と何とか説き伏せようとしたんだけど、自分の中で納得がいかなくて譲らなかった。 そんな時に、この家が売りに出て、半分冷やかしで見に来たのよ。で、このキッチンを見たとたん、「今の家を売って、この家を買わない?」って夫に提案したの。夫は今でも、「このキャビネットが、この家を買った理由だ」ってからかうのよ。 ![]() 最後にNYで、好きなレストランを教えてください。 まずフラニーズ(Franny’s)。 フラニーズはファンが多いです。 私はレストランでメインコースを頼まず、アパタイザーを数種類、頼むのだけれど、フラニーズは、やっぱり食材の質に感激するわ。 例えば、オレンジにソルトとオリーブオイルがかかっているだけのアパタイザーがあったの。でもね、それが凄く美味しかった。 ということは、どこの、どの種類のオレンジを選ぶのか、オリーブオイルのクオリティ、ソルトとの相性、全てがハイクオリティでバランスがとれているから、シンプルな材料だけど美味しいのよね。決して複雑な料理ではないのよ。 バークレーで、シェパニス(Chez Panisse)に行った時、デザートにピーチ、があったのね。そのピーチデザートは、5つの単語で説明されていたわ。 それを頼んでテーブルに運ばれて来た時は驚いた。目の前に置かれたのは、ピーチとナイフ。でも、そのピーチは、それまで味わったことがない程美味しかった。 ル・バーナディン(Le Bernadin)も好きよ。私のシーフード嫌いを克服したのはあのレストランのお陰。今では年に数回しか行かないけれど、好きなレストラン、と聞かれると、あそこは挙げるわ。 グランド・シェシュワン(Grand Sichuen)。中国西安に行ったことがないので、本場の味かどうかは判らないけど、他のチャイニーズレストランと違うの。揚げ物よりも炒め物が多くて、素材の良さを活かした炒め方をしていると思う。 そしてタノリーン(Tanoreen)。私は茄子が好きなのだけれど、茄子料理の茄子が瑞々しくて甘くて本当に美味しい。それと、オーナーシェフが女性で、行く度に快く迎えてくれる。キッチンから出てきて各テーブルに挨拶をするの。凄く素敵な人よ。私達がタノリーンに行き始めた時から、シェフに「絶対本を出すべきよ!」って言っていたの。ついに出版されて本当に嬉しかったわ。 ここに行ったら、スタッフドキャベッジを絶対食べて。 (次回は1月25日にポスティングします) |