![]() 皆さん。こんな気分になったことはないでしょうか。今、目の前にある食事。それなりにとても美味しい。美味しい通信簿があったら5のうち3.5ぐらい付けちゃおう。でも、また戻りたいか?と聞かれると、「うーん。次に友達と出かける時は新しいところを試してみたいな」と思ってしまう。 これは女性特有なのだろうか。 主人は、自分のお気に入り店に行き続け、新規開拓には、あまり興味がないようだ。それとも、私は、何度でも通いたくなる店にあっていなかったのか。(さして美味しくないけれど、生粋ギリシア系ニューヨーカーのオーナーがいるダイナーは好きで週末になると行く)。 今回は、前回の『フランクリンアベニュー、食ルネッサンス』の続編。で、今回は、続々オープンするレストランの中から、戻りたくなる私のお気に入りの二店をご紹介します。 まず『CAFE FORTE』。私は、ここのサンドイッチに度肝を抜かれた。 正直、サンドイッチに対して「おいしい!」とは思ったことはあれど、あまりのおいしさにうなったことはなかった。 サンドイッチはランチで手早くぱっぱと食べられる軽食、というイメージがあるので過度の期待もない。ところがここのサンドイッチは、具材一つ一つが個性豊かで味も絶品ながら、他の具材とまとまった絶妙なバランスがある。 アルゼンチンサンドイッチを食べてみた。まず自家製ローストビーフの味と歯ごたえに微笑み、レリッシュの味付けも甘すぎず酸っぱすぎず旨味を感じ、野菜は新鮮で甘みがあってしゃきしゃきと、そして自家製のパンはサワードウをチョイス。 実は、私、グルテンの存在がとっても気になっているのと、バターやミルク、砂糖まで一緒に入ってきちゃうパンが今一好きになれない。美味しい、とは思うのだけれど、あまり身体に良さそうではない。中学生の時にクリームパンをランチにしていた自分が信じられない。でも、ここまで美味しいサンドイッチだったら、グルテン云々はとりあえず置いておいて、頬張ってしまう。 オーナーシェフは、野菜は地元農家から、肉や乳製品は、近郊の家族経営農家から直接仕入れ、具材は一つ一つ時間をかけて作っている。時間に追われて生活している私達は、食事もパッと食べて次の行動に移る。でも食べることって本来、大地からの恵みをゆっくり調理し身体の中に入れることのはず。そう、FORTEのサンドイッチを食べると大地を感じるのだ。店内では若者達がマックを開いてかちかち打っているが、なぜかその空間の時間がまったりしているように感じるのは、この大地感か。 ![]() 次に『Willow』、モダンアメリカン料理。アメリカ料理って、マカロニチーズ、ハンバーガー、ミートローフ等、大胆で大雑把感がある料理が頭をよぎるが、それって昔は、海外で日本食といえば、天ぷら、すき焼き、寿司だったような感じで、今、モダンアメリカンといわれる料理は、多様な食材を使い洗練された味と盛りつけで、NYのレストランシーンで確立した感じがある。アメリカって元々食材は豊富な国で、昨今のヘルス志向、オーガニックブームもあって、モダンアメリカン料理って健康的だ(でも、せっかく穫れたての魚料理を食べても、サイドがバターたっぷりマッシュポテトだと、カロリーがガっと上がるけど)。 モダンアメリカンが珍しくないニューヨークのレストランシーンで、なぜWillowに感動したか、というと、料理がニューヨークの街そのものみたいだからだ (そして価格。同じ内容の食事をマンハッタンで食べたら、もうちょっと高くなるだろうー9月号参照)。 キムチや柚子などアジアの食材を使うのは、新しいことではない。「Shishito pepper(獅子唐)」とか、今や昔の枝豆のように、どこにでもある。 いつものごとく話は脱線して、獅子唐に一言。時々、とっても辛い獅子唐にあたったりするので、やっぱり作っている人が判っているところで食べたいかな、というのが本音。ある時にマンハッタンの和食屋で食べた獅子唐が不味かった! さて、Willowの独特な素材の組み合わせ、例えば、すいかドレッシングをミント豆に、いちごスライスと肉の組み合わせ、みたいな。ポテトピロギは、ロシア料理のこってりソースの替わりに、茹で餃子感覚で食べるとか。発酵鯖も、寿司風に持って行くのかな、と思うと、ちょっとひねったアパタイザーにするとか(ざっくりとした表現なのは、食べている時はワインを飲み、いい気分になっちゃってメニュー通りに覚えておらず。。。すみません)。 この想像外の組み合わせや調理方で、それぞれの素材の個性は保ちつつ、新しい料理になっているのが、まさにニューヨークだな、と思う。様々な人種、一人一人の個性が主張しながら、エキサイティングな街を創りだしているニューヨーク、のような。 ![]() そして、先ほどのFORTEと共通しているのは、地元農家からオーガニックで新鮮な野菜を直接仕入れていること。Willowが仕入れている農家は、ニューヨーク州北部の家族経営農家が集まって立ち上げた組織、『The 607 CSA』の一員。このThe 607 CSAは、レストランやファーマーズマーケットへの販売に加え、直接購入を希望する消費者をシェアホルダーとして募り、メンバーになったホルダーへ、産地から直送する、というシステム。届け先は、指定ピックアップ先で、Willowは指定ピックアップ先として場所を提供している。 早速、私は、秋野菜のシェアホルダーになってみた。今年の11月、12月の六週間の間に、週一回、採れたて野菜が届くパッケージで175ドル。ホルダーメンバーは天候の影響で出来が今一かもしれないなど、リスクを予め承諾しておく。農家はこうやって収入を確保することで、野菜が育てられない冬の収入源にあて、農家はオーガニックな野菜作りに専念することができる。他には卵、ソーセージ、チーズ、きのこシェアホルダープランなども。サイトの写真がほのぼのしていて微笑んじゃいます。11月には、このThe 607 CSAの特集をします。 ブルックリン発信の大地に乾杯! (次回は10月下旬にポスティング予定です) |