![]() 今回のニューヨークキッチンは、マンハッタンアッパーウエストサイドから。 この2月にキッチンレノベーションを終えたばかりの、恭子さんとロイのお宅。 恭子さんは、NYの由緒ある料理学校、The French Culinary Instituteの卒業生。卒業後は、マンハッタンレストランの老舗高級レストラン、ダニエルのケータリング部門で活躍した後、JPモルガンのエグゼクティブダイニングで腕を振るう。 キッチンレノベーションでは、材料一つ一つに拘り、ショールームやお店に直に足を運び、タイル一枚から、一点一点ロイと一緒に選んだ恭子さん。 お二人のこだわりキッチンについて恭子さんに聞きました。 ![]() ー レノベーションで一番重要だったポイントはなに? レノベーション前は、ワークスペースが少なかったので、。ワークスペースを多く取ることがとても大切だった。建築家の人と相談しながら、ベッドルームにつながるドアを壁にして、カウンターを設けてワークスペースを増やしました。 ー カウンタースペースに大理石を選んだ理由は? 大理石は、ペイストリーの生地をこねる時に生地を直に置いてこねられるの。それに年を重ねるごとに味を重ねる素材なので、家族と一緒に歴史を重ねられる。人によっては、染みになりやすいとか、欠けやすい等で大理石を敬遠する人もいるけれど。 ー 家電が少ないですね。 電子レンジは初めからもっていなかった。炊飯器も改装と一緒に処分しました。ガスを使った料理をしたいので。 ー バックスプラッシュは何にこだわった? 白のセラミックのタイルにすることは初めから決めていました。カラーは食器などで後から加えられるから、なるべく色味は抑えようと思っていたのね。 このタイルは手作りで、一枚ずつが微妙に違うの。摩耗の度合いが違ったり、表面の曲線具合が違ったり。なので、バックスプラッシュで壁に貼られた時も、インダストリアル的なのっぺり感がなくて暖かみ、深みが出る。 チェルシーにある、Waterworksのショールームで、一枚ずつ手作りのタイルを10枚程貼っている見本があって、それを見た時にいいなぁと思ったの。暖かみが違った。一枚ずつ違うから、光の当り方跳ね返り方も違って来るでしょう。 ![]() ー キャビネットも白ですね。 キャビネットの色を白にすることにはこだわっていたの。自然素材を使いたかったので、木を使うことにこだわったけれど、木の色だと暗いかんじになるので、キャビネット制作会社と色々相談して、ドアは木を使い白のペンキを塗りました。でも全部木のドアだと圧迫感が出てしまうので、所々にグラスを使ってアクセントをつけました。 床にもこだわったのよ。リクレイム(昔使われていた)の木を使ったの。リクレイム専門の材木屋(ランバー)のショールームがチェルシーにあって、そこに通って選びました。 リクレイムの木は使っているうちに個性が出て来るでしょう。例えば、この床のこんなところに釘の後があって、みたいな。無機質なものには惹かれないのよね。 ![]() ー ガステーブルもなぜか無機質さを感じませんね。 ガステーブルを選ぶ時もリサーチを沢山したわ。以前使っていたのは、温度設定がコンピューターのもので好きに慣れなかった。 Wolfのガステーブルは全部マニュアルで、自分の感覚で温度設定ができるのが気に入っているの。オーブンの温度もコンピューターで設定しないで、このダイヤルをひねっての温度調整なのよ。コンロとして実直な仕事をします、という感じでしょう。作りがシンプルな方が長持ちするし。 以前一緒に働いていたシェフが、ケータリングの仕事で色んなお宅で料理をしていて、その彼に、どのメーカーのガステーブルが好きか聞いたら、「僕が自宅用に買うんだったら、Wolfにする」って言ったのね。その意見も参考になったわ。 ![]() ー 自分の道具の中で好きなものは。 ついつい手が伸びてしまう道具は木べらかな。何年も使っているから形も変ってきているのだけれど、鍋底をかき回している時に木べらだと料理をしている感がある。この木べらはシュークリームを作る時に鍋底からクリームをかき寄せる時のために買ったの。シチューやスープを木べらでかき回している時に、セラピューティークなものを感じます。 ー レノベーションにあたってワークスペース以外で絶対ほしかったものは何? 食洗機。それと換気扇。我家は外に換気するタイプのものを着けられなかったので、炭で臭いを吸収するタイプを選びました。これもガステーブルと同じWolf製です。 ![]() ー この棚もアンティーク感を感じますね。 この棚の木も、リクレイムの木なのよ。ブルックリンのリクレイムランバーで買って来たの。棚を載せているブラケットも、アンティーク道具を扱うオンラインで買ったの。このブラケット、実は馬具をかけるフックだったみたい。さびていたので、黒のペンキを塗りました。 実は、一つずつ形が微妙に違うので、壁に取り付ける時に大工さんに色々アイデアを出してもらったわ。 ![]() ー レノベーション後のキッチンの中でお気に入りスポットを敢えて挙げるとどこ? レノベーションで窓も変えたのだけれど、キッチンからこの窓を通してみる外の眺め。マンハッタンの景色って高層ビル群を思い浮かべる人も多いと思うけど、この窓から見える眺めは、ストリートレベルのニューヨークライフが間近で切り取られている感じなの。オーソドックスユダヤ教の人達が通ったり、子供と歩いているお母さんや、イエローキャブが通ったり..。特に週末はニューヨーカーの生活を垣間みれる。窓から入る日の入り方も一分ずつで変化していくのよ。 窓を変えた理由は開き難かった、という機能が理由だったのだけれど、こんなに楽しめると思っていなかった。 ![]() ー 特別な時に作る手作り料理はなに? 煮込み料理かな。ラムシチューやショートリブの煮込み。ごちそう感があるでしょう。 ー 良く作る料理は? 魚料理。調理方法はフライパンで焼くことが多いかな。時々、味噌粕漬けなども作ります。 ー 食材はどこで買いますか? 基本的にグリーンマーケットを中心に買い物をします。週末に、ユニオンスクエアマーケットに行って、日曜日にはコロンバスアベニューのグリーンマーケットで買い足して。そこでないものは、近所のフェアウェイ、ホールフーズ、トレーダージョーズで買います。 グリーンマーケットで必ず買うものは卵。その日とれた卵を農家さんが販売しているので新鮮なの。あと小麦粉。デザートを作る時に、グリーンマーケットで買った小麦粉で作ると美味しい気がする。スーパーで売っている小麦粉よりも、製粉してから時間が経っていないんだと思う。メイプルシロップや蜂蜜もグリーンマーケットで買います。あとガーリック。毎回同じ農家さんから買っているのだけれど美味しい。 マーケットで買うのは作っている人の顔が見えるからかな。自分が作ったものをお客さんに一生懸命説明していて、そういうところに農家さんの情熱を感じる。 魚もグリーンマーケットで買って、あとはシタレラでも買います。シタレラには週三回以上行きます。売っている人の魚に対する知識がホールフーズよりも高いし、客側の立場に立ってくれているような気がする。注文すると良い部位を探してくれたり、お客さんから「この魚はどうやって食べたらいい?」という質問がでても応えられたり。 トレーダージョーズは質に対して価格がお手頃だし便利ね。トレーダージョーズで私がわざわざ買うアイテムはストアブランドのブルターニュ産のバターが美味しくて好き。あと同じくストアブランドの特定フレイバーのヨーグルト。 ホールフーズには、ホールフーズでなければ買わない、というものは特にないかな。 ワインはチェンバーストリートワインズで買います。そこで働く店員の皆が、ワインの知識があって、料理と予算に合うワインを提案してくれるわ。彼らの、ワインが好きでワインをもっと勉強したいという熱意が伝わってくるお店です。 ![]() ー ニューヨークで良く行くレストランはどこ? 自分で作らないものを出すお店に行くわね。蕎麦こう、や、主人はハサキが好きなので隔週ぐらいに行きます。 でもそことファインダイニングの間のレストランとなると、味と値段が見合わない店が多くて、であれば家で作った方がいいな、と思う。だからリピーターになるようなお店が特にないの。 でも、例えば今日作るのが面倒だから、どこに行こうか、となると、シーフードのマーメイドインかな。何もないアッパーウエストサイドの希望の星。絶対つぶれて欲しくないお店ね。レントが高くて美味しいお店が次々にクローズしているのが残念なのよ。 そうそうキッチンレノベーション中によく通っていた77丁目のミルフィーユのアーモンドクロワッサンは本当に美味しい。毎朝決まった時間に決まったものを食べていたのでお店の人も私達を覚えてくれて、レノベーション時のことを懐かしく思うのは、あのお店の味と、お店の空間にいた時の瞬間かしら。 今回は、サラとピーターのキッチン。 リビング/ダイニングから見えるマンハッタンの摩天楼の景色に恋して15歳の長女が産まれた時に購入したウォーターフロントのアパートメント。家族が増えて(13歳の長男と8歳の次女)アパートメントは手狭になったが、この景色から離れたくない。 コンパクトなキッチンを数年前にリノベーションし、機能性と収納を加えたこだわりキッチン。 ブルックリン生まれでブルックリン育ちのサラにインタビューしました。 ー あなたが作る料理で家族から一番人気の料理はなに? マックアンドチーズ(Macaroni and Cheese-マカロニグラタンみたいな料理)。私の母が使っていたレシピなの。ジェイムス・ビアードの料理本からのレシピよ。ジェイムス・ビアードは、セレブリティシェフの走り。彼がアメリカン家庭料理に与えた影響は大きいわ。 母のマックアンドチーズは、生クリームをたっぷり使うんだけど、私はちょっとヘルシーを意識して、生クリームは使わない。 私は、どちらかというとベイカーかな(Baker。ベイクは焼くことで、お菓子のことをベイクドグッズという)。お菓子作りが好きなの。使うレシピは、ファミリーレシピが中心。子供の頃、家族で教会に通っていて、教会の年中行事や活動の時に、皆が手作りお菓子を持ち寄るの。その時に集めたレシピが今でも凄い役に立っている。 その中で家族から人気なのは、パンプキンケーキ。パンプキンパイやブレッドは良く聞くでしょう。キャロットケーキをイメージしてもらうと判りやすいかな。クリームチーズのフロスティングを使うのが私のケーキのこだわりです。 ー よく作る料理はなに? アメリカン料理が中心。チリ、ミートボールなどね。 チリに入れるスパイスに私はこだわっていて、サハディーズ(Sahadi’s)でミックスしてもらってその場で砕いたものを買って来るの。 ![]() ちょっとここで、サハディーズについて。 サハディーズは、1898年にレバノン移民のエブラヒム・サハディーズがブルックリンで始めた食材輸入会社。レバノンやシリアからの移民マーケットを客層にスタートした。今ではスパイスや食材、総菜などオリジナル商品が店内に溢れていて、そこでの買い物は臨場感に溢れていて楽しい! サハディーズがあるブルックリンのアトランティックアベニューはアラブ系のコミュニティが多く住み、中東料理レストランなどもある。ブルックリンの地価が高騰し続けている今は、バーニーズがブルックリン店をオープンするなど行く度に新しいお店がオープンしているアベニュー(最近ブルックリンはどこでもそうだけど)。 ー 日頃の買い物はどこでする? サハディーズ、トレーダージョーズとか。でも日頃の買い物はキーフード(近所のスーパーマーケット)でするわ。私は車を運転しないので、ホールフーズは不便なのよ、それにちょっと高くって毎日の買い物向きではないわね。 ー 食材を買う時のこだわりはある? 子供が食べる物を買います。こだわりの食材を買っても子供が食べなければ意味ないでしょう。 最近は、子供の食べる物をコントロールする親が多いと思うのだけれど、害(加工食品や砂糖や塩分が多い)が少ない食材を使った料理を適量に与える以外は、私はあまりうるさいことは言わない。オーガニックじゃなければ、とか、ベーコンの脂身は食べちゃだめ、とか、そういうのって子供が食に神経質になってしまいそう。 (ここで一言。気のせいか、ニューヨークに住んでいると、かなりの偏食の子が日本より多い気がする。私の周りに、大袈裟にいえば、パンとパスタ麺しか食べない、という子供が3人いる。これって結構な確率。それだと栄養のバランスがとれないので、サプリメントで補っている。 そのうちの一人の子が3歳の時に、我が息子の誕生日パーティーで、「僕はケーキは食べないよ。ママからオーガニックのものしか食べちゃだめって言われてるから」と一言。「どうしてケーキミックス使ってるって判ったんだろう」という疑問はさておき、3歳から親にこう言われていたら、食に対して神経質になりますね。今は、12歳の彼がパスタ麺とパンを食べている姿しかみたことがない。家では肉や野菜を食べているのかなぁ。) ![]() ー キッチンで好きなところとキッチンの好きな道具はなに? 改装で収納が増えたので使いやすくなったわ。道具では、グローブの包丁。あとスパークリングウォーター・メーカー。スパークリングウォーターを使う度に買うと重くて持ち帰るのも大変だし、環境にもあまり良くないわよね。 私は、このアンティークのキャニスターが凄く気に入っているの。それと、このウィリアムズバーグ・バンクの貯金箱。これもアンティークなのよ。 ![]() ー 好きな料理本はなに? お菓子作りの本で私が大好きなのが、1950年に出版された、ベティクッカーズ・ピクチャーブック。イラストも可愛いでしょう? それと昨日、この本を図書館から借りてきたんだけれど、デール・タルディといってフィリピン系アメリカ人のシェフが出した本よ。彼の料理は最近人気がある。Momofukuのデイビッド・チェンが出てきた時のような感じかしら。 ![]() ー ニューヨークで好きなレストランを教えて。 フランキーズ・スプンティノ(Frankies Spuntino)。スプンティノ、とは、カジュアルなイタリアン食堂っていう意味らしいわ。 オーナーは二人ともフランク、という名前で、このレストランの名前のオリーブオイルも売っているのよ。あと、この二人は、プライムミート(Prime Meats)とカフェ・ペドラー(Café Pedler)も経営してる。 最近、ウイリアムズバーグのユウジ・ラーメン(YUJI RAMEN)で朝食を食べたの。日本の伝統的な朝食って初めての経験だったけれど、すごく美味しかった!プレゼンテーションの美しさにも感動したわ。 近くにタイ料理のポクポク(Pok Pok)があるの。オーセンティックなタイ料理で有名なシェフがやっている店よ。子供が辛い料理があまり好きじゃないので、家族で行けないけれど…。家族で行くエスニックレストランといえば、マンハッタン・チャイナタウンのゴールデンユニコーンかな。 マンハッタンどころか、ブルックリンだけでも行きたいレストランは沢山あって、行ききれないわ! (次回は3月15日を予定しています。) ![]() 100人以上のミレニアル・ニューヨーカーが相撲を観ながらちゃんこ鍋を突っつく姿を、10年前に誰が想像しただろうか! ウィリアムズバーグにあるブルックリン・ブルーワリー。NYに住む人も、観光でブルックリンに行ったことがある人も、このブルーワリーを訪れたことがあるのではないだろうか。 今ニューヨークはご当地ビールならぬ個性ブランドビールが大ブームだが、先駆けはこのブルックリン・ブルーワリーだろう。(でも最近IPA—インディアペールエール—が人気なのよね〜。やっぱりビールはラガー、という私は、ブルックリン・ブルーワリーはラガーも出してくれているので嬉しい)。 1月20日に開かれたスモウ(相撲)パーティー(Sumo Party)の仕掛人は、ブルックリンキッチン(The Brooklyn Kitchen)のオーナー、ハリー・ローゼンブルムさんとフードライター/フォトグラファーのマイケル・ハラン・ターケルさん。 前回の九州場所スモウパーティーに参加した友人の話によると、その時の会場はブルックリンキッチンで、定員50名のところに80名が押し寄せ、立ち見が出るほどだったそう。 そこで、会場をブルックリン・ブルーワリーにして、それでも定員の100名は完売。会場では、十両からの相撲中継が、プロジェクターからスクリーンに映し出されている。 参加費は50ドルで、お弁当、ちゃんこ鍋、ドリンク一杯が付いてくる。そしてブルーワリーからビール一杯もおまけ。 ![]() .さーて、お弁当の中身は、というと、アイバンラーメン(Ivan Ramen)から大根酢の物、ユージラーメン/オコノミ(Yuji Ramen)から鰊南蛮漬け、シャロムジャパン(Shalom Japan)から八丁味噌なす田楽、ガンソ/ガンソヤキ(Ganso)から豚揚げ焼売、奈良県から奈良漬け、と、アイバン以外はブルックリン居酒屋のそうそうたる顔ぶれ、プラス奈良漬け弁当だ。 そしてちゃんこ。ちゃんこ鍋をスモウシチューと命名し、当日現場で調理。ちゃんこは、ブルックリンの居酒屋モクモク(MokuMoku。モモスシシャックMomo Sushi Shackは姉妹店)と、マンハッタンローワーイーストサイドの居酒屋アザス(Azasu。よっぱらいYopparaiの姉妹店)が担当。 モクモくのちゃんこは、つくねとキノコがふんだんに使われていて、柚子胡椒をちょっと入れて食べる。つくねは、オーナーさんが説明してくれたのに、すっかり忘れてしまったが、鶏肉で有名な産地の新鮮鶏ひき肉を、キノコは自然栽培の採りたてを使用。アザスのちゃんこは、ベジタリアン。豆乳スープに油揚げ、ニラの彩りがきれい。 モクモくのちゃんこが出来上がったと同時にニューヨーカーは列をなし、100人以上いるんだから、売切れごめんになったら困る、と、私と主人も列に並ぶ。 やっと次、となった時、目の前のカップルにモクモクオーナーが柚子胡椒の説明を始めた。説明されてもまだ不思議そうな顔をしている二人に、日本人の口から聞いたらきっと説得力が増すだろうと思って、私が、「柚子胡椒、我家ではローストビーフとかにも付けるし、オリーブオイルをちょっと入れて豆腐にも付けたりして、万能よ」とコメントすると、彼女が「そうなの?どこで買えるのかしら?」と反応。そこでモクモクオーナーは、彼氏の方に、「ちょっと食べてみたら?」と柚子胡椒をスプーンにとって彼の口へ。「え、そんなに一度に食べたら辛い!」と思ったのも束の間、「ワオ。ホット(辛い)だね。でも体験したことない味で美味しい」と、ちゃんこの中に柚子胡椒を入れてテーブルに戻って行った。 アザスのベジタリアンちゃんこも行列。残念ながら私達はありつけませんでした。 ![]() ドリンクで、私が気に入ったのが、ニッカカフェグレーンを使ったサクソンアンドパロル(Saxon+Parole)のハリテパンチ(ネーミングも面白い)。 日本の柑橘(多分、伊予柑。違ったらごめんなさい!)が入ったドリンクで、シンプルに美味しい!、と思ったカクテルは久しぶり。なかなかのカクテルは沢山飲んだけれど、「ちょっとやりすぎ?」という感も否めなかった。が、このカクテルは甘くなく、柑橘がほのかに香り、でもカフェグレーンウィスキーの奥行きと絶妙なマッチで本当に美味しかった。 カフェグレーンをストレートでちょっと飲んでみたが、ウイスキー好きなら、これは一家に一本は欲しい。周りにウィスキー好きのアメリカ人男性結構多いので、早速勧めてみよう。 彼らは響、山崎、白州は持っていて、お宅にお邪魔すると出してくれるけど、ニッカはマイナーだ。朝ドラ『マッサン』が大好きだった私は、ニッカも何とか応援したい。 ![]() このイベントに参加して思うのは、アメリカ人の日本に対する愛だ。 イベントで食を提供しているレストランのオーナーの殆んどはアメリカ人。出店していた日本酒や日本茶の専門家もアメリカ人がいる。彼らは、皆口を揃えて、「日本には数回行っているよ。とにかく日本が好きなのさ」、と言う。彼らの日本への愛情/情熱は、単に食材、飲料、料理への興味以上のもののように思う。 仕掛人の一人、ブルックリンキッチンのオーナー、ハリーに聞いてみた。 「日本に行くと驚かされる。そして感じるものがあるんだ。日本で包丁の産地にも行ってみた。職人達の、包丁、生産過程へのこだわりと、質の高さには感動だった。相撲だってそうだよ。僕はスポーツは観ない。でも日本で相撲を観た時に、このスポーツの洗練された複雑さに感銘を受けたんだ。 NYに戻ったら、ストリーミングで相撲が観れることが判って、ニューヨークの多くの人に楽しんで貰いたいと思った。それがこの会を始めることになったきっかけさ。」とのこと。 私なんて、アメリカ人の主人が大の相撲好きで、友達に一生懸命魅力を語っているのに、「アメリカ人が相撲に興味持つ訳ないでしょ!」なんて、冷たい目で観ていた。 それなのに、ハリーは情熱で、多くのアメリカ人に日本の相撲/文化を伝えているのだ。 何となく思う。ジェネレーションXのアメリカ人達は、「日本経済が脅威になる」と言われた時に学生だった。それで日本語を学び、日本にも行った。日本に来てみて、日本が好きになった人達も多いと思う。 でもミレニアル達は、子供・思春期時代に本人が日本にすごく興味を持った。アニメやバクガンがきっかけだったとしても‥。 12歳の息子が小学生の時に、友人達から「日本はクールな国だね」とか「日本に行ってみたい」と良く言われていた。去年の歴史のクラスで、東アジアスタディを選択し、中国、韓国、日本の近代の歴史と関係を勉強した15歳の娘は、「クラスメート(約20人)の中で日本に興味を持っている人が一番多かった」と言っていた。 ニューヨークで日本語の先生をしている人達に聞いても、ビジネスで役に立つ言葉ではなくなった今となっても、バブル時ほどではないにしても、日本語の人気は落ちていないらしい。とある大学の日本語の先生は、「ある学生は、日本語を続けたかったのに、親に、『役に立たない言葉だ。学費を払っているのは親なんだから、中国語に変えろ』と言われて、泣く泣く諦めた」、と言っていたが。 一緒のテーブルに座った、20代の男性二人に聞いてみた。「どうして今日、来ようと思ったの?」って。一人はあか抜ける前のキアヌ・リーフ似のオーストラリア人で、NYにいる友人を訪ねて滞在しているらしく、その彼は、「日本が好きなんだ。食、文化、全てに興味がある」。そして、そのニューヨークに住むロバート・パティンソン似の友人の方は、「日本が好きで、日本にも行ったんだ。僕が一番好きだったのは高野山で、宿坊にも泊まったよ」と、iPhoneの写真を見せてくれた。 ![]() 相撲もいよいよ横綱戦。 それまで食に集中していた参加者も、顔を画面に向け、声援している。その日は、琴奨菊が白鵬を倒した番狂わせがあった日で、座布団が飛んでいるのを、「What is going on?どうしたの?」と不思議そうに観ている。 確かに字幕もないし、相撲のことを知らないと、なんで突然、紫のクッションが飛び交っているのか謎だっただろう。でもそこは、お祭り気分大好きなアメリカ人のこと。何かエキサイティングなことが起こっている画面を観ながら歓声をあげていた。 弓取り式の時には、もう夜の11時。 一緒に行ったアメリカ人の友人が、「みきって意外に相撲に詳しくない?」と一言。 ばれた。そうなんです。子供の頃、父親と一緒にこたつに座って良く観ていました。先代貴ノ花の大ファンだった私。 何かノストラジックにもなり、アメリカ人が日本をプロモートしていることにも感動し、料理もお酒も美味しく、良く笑い食べて飲んだ。 大阪場所は行けないけれど、五月場所はまた絶対参加しよう。その時には会場がもっと大きいところになる可能性もなきにしもあらず。スモウシチューのこれからも楽しみだ! *スモウパーティー関連サイトはこちら。 ブルックリンキッチンのスモウパーティサイト:https://www.thebrooklynkitchen.com/sumo-party-16032358201 スモウシチューのFacebookページ:https://www.facebook.com/sumostewparty/ (次回は2月15日に掲載します。NY時間の場合もあるので、16日になるかもしません。Keep checking in!) 今回の『NYお宅キッチン拝見』は、イボンヌとジョシュのお宅。 玄関のドアを開けると、フロア全体に、ガラス張りのリビングからの光が注ぎ込んでいる。 光に呼ばれるように中に入ると、リビングの前にあるフレンチカントリー風の暖かみのあるキッチンが広がる。 ところどころに夫婦のこだわりを感じるのだけれど、日々の生活の風景も感じさせ、とってもウェルカミング。いつも友人達が夫婦を訪れキッチンに集まる。 キッチンと食へのこだわりを、イボンヌに聞きました。 ![]() 家族が一番喜ぶ、あなたの得意料理はなに? 主人が大好きなのがシュリンプ&グリッズ(Shrimp and Grids)。 アメリカ南部の伝統料理なの。私が一時、ノースカロライナ州に滞在した時に覚えた味なのよ。 それと娘のために、韓国料理を作るようになってその中でもジャプチェが好評です。(母親の選択12月号をご参照ください) 自宅で、他にどんな料理をつくりますか? イタリアン、韓国料理、アルゼンチン料理、イラン料理かしら。アルゼンチン料理はどんな料理か、ですか? イタリアンに凄く似てます。 イラン料理ってどんな特徴があるの? ペルシア料理が得意な友達が教えてくれて、それから凄く好きになったの。 中東/地中海料理の要素もあるけど、でも他の地域で味わったことがない味よ。シチューがとっても美味しい。サフランとライムを沢山使います。 NYで好きなイランレストランはある? イランレストランは特にないけれど、ブルックリンのベイリッジにある中東料理レストランのタノリ—ン(Tanoreen)は最高よ! 今は有名になったけれどね。ラム料理が多いの。 ブラジルに4年暮らしていた時は、肉料理が多かったのかしら? ブラジルはシーフード料理が多いのよ。でも私がブラジルにいた時はまだ10代で、魚があまり好きじゃなかったけれど。 ブラジルの定番料理といえば、ブラックビーン&ライス。豆の中に沢山の肉が入っているわ。 ![]() 好きな料理本がありますか? 料理の本ってトレンドなの。人気本はいつも変るわ。今、人気があるのは、地中海料理シェフのヨタム・オットレンギ(Yotam Ottalengi)。彼のロンドンのレストランにはまだ行ってないのだけれど。 沢山の料理本を持っているけど、それぞれの本からだいたい1〜2のレシピを使うかな。一番レシピを多く使うのはユニオンスクエアカフェの料理本です。 食材を買う時にこだわっている点は? 私は外国を旅した時に、現地で食材の買い物をするのが凄い好き。ニューヨークでも、本場の食材にこだわると、中華料理だったら中華街、韓国料理なら韓国街、他にもインディアン街、ロシアン街などそれぞれの料理の地域の店が集まるエリアに足を運ぶのが好きです。 お肉はどこに買いに行くの? コートストリートのスタウビッズマーケット*(Staubitz Market)に行きます。 *1917にスタウビッズ氏が始めたお肉屋さん。現在でも営業している食関連のビジネスとしてNYで最も古いお店の一つ。 ![]() キッチンの中で一番好きな道具はなに? バイキングのガスコンロ(Viking Range**)です。 このコンロは最高よ。火の調節が絶妙なの。4つバナーがあるでしょう。このバナーの大きさは皆同じなんだけど、1つずつが強弱の火力調節できるので、バナーの大きさを違える必要がないの。**バインキングコンロープロ使用ガスコンロを家庭使用に開発されたコンロ。アメリカミシシッピー州の会社。 別荘にGE(ジェネラルエレクトリック社)のコンロがあって、大きさの違うバナーが4つあるんだけど、一番小さいバナーを使っても煮込む火力の温度調節はいまいちだし、大きなバナーで火力を最大にしても、凄く強い火力が必要な料理にはちょっと中途半端なのよ。 このバイキングのコンロには適わないわ。 キッチンの中で一番のこだわりは? 実は、キッチンキャビネットの扉なの。このキャビネットは職人の手作りで、扉がまさにこだわりなのよ。 普通、扉って、キャビネット全体を覆うように閉まらない? でもこの扉は、枠の中に納まっているの。初め、私も気がつかなかった、「なぜキャビネットがアンティークぽく見えるんだろう」って。この扉のつくりが手作りだからだ、って後から気がついたわ。 ![]() キッチンから見える外の景色、天井のむき出しのビームとキャビネットが絶妙にマッチにして、フレンチカントリーキッチンのような雰囲気に仕上がっています。 実は私達、この2軒先に住んでいて、キッチンのレノベーションをしたいね、と夫と話していたの。私のこだわりは、手作りのキッチンキャビネットだった。 でも大量生産キャビネットに比べたら手作りは価格が全然ちがう。 夫は、私に「諦めて」と何とか説き伏せようとしたんだけど、自分の中で納得がいかなくて譲らなかった。 そんな時に、この家が売りに出て、半分冷やかしで見に来たのよ。で、このキッチンを見たとたん、「今の家を売って、この家を買わない?」って夫に提案したの。夫は今でも、「このキャビネットが、この家を買った理由だ」ってからかうのよ。 ![]() 最後にNYで、好きなレストランを教えてください。 まずフラニーズ(Franny’s)。 フラニーズはファンが多いです。 私はレストランでメインコースを頼まず、アパタイザーを数種類、頼むのだけれど、フラニーズは、やっぱり食材の質に感激するわ。 例えば、オレンジにソルトとオリーブオイルがかかっているだけのアパタイザーがあったの。でもね、それが凄く美味しかった。 ということは、どこの、どの種類のオレンジを選ぶのか、オリーブオイルのクオリティ、ソルトとの相性、全てがハイクオリティでバランスがとれているから、シンプルな材料だけど美味しいのよね。決して複雑な料理ではないのよ。 バークレーで、シェパニス(Chez Panisse)に行った時、デザートにピーチ、があったのね。そのピーチデザートは、5つの単語で説明されていたわ。 それを頼んでテーブルに運ばれて来た時は驚いた。目の前に置かれたのは、ピーチとナイフ。でも、そのピーチは、それまで味わったことがない程美味しかった。 ル・バーナディン(Le Bernadin)も好きよ。私のシーフード嫌いを克服したのはあのレストランのお陰。今では年に数回しか行かないけれど、好きなレストラン、と聞かれると、あそこは挙げるわ。 グランド・シェシュワン(Grand Sichuen)。中国西安に行ったことがないので、本場の味かどうかは判らないけど、他のチャイニーズレストランと違うの。揚げ物よりも炒め物が多くて、素材の良さを活かした炒め方をしていると思う。 そしてタノリーン(Tanoreen)。私は茄子が好きなのだけれど、茄子料理の茄子が瑞々しくて甘くて本当に美味しい。それと、オーナーシェフが女性で、行く度に快く迎えてくれる。キッチンから出てきて各テーブルに挨拶をするの。凄く素敵な人よ。私達がタノリーンに行き始めた時から、シェフに「絶対本を出すべきよ!」って言っていたの。ついに出版されて本当に嬉しかったわ。 ここに行ったら、スタッフドキャベッジを絶対食べて。 (次回は1月25日にポスティングします) サンクスギビング(感謝祭)は、アメリカ人にとってのお正月。 除夜の鐘や初詣を宗教的な習慣と捉えると、「アメリカ人にとってのお正月は、クリスマスなんじゃないの?」という声もあるが、アメリカ人全てがクリスマスを祝うとは限らない(ユダヤ教、イスラム教もある)。宗教を問わず老いも若きも、最近アメリカ人になった人も代々アメリカ人だった人も、リッチもそうじゃない人達もアメリカが家族で祝う祝日、というと、サンクスギビング、なのだ。 サンクスギビング・ディナーは、七面鳥、クランベリーソース、ヤム(薩摩芋みたいな芋)は絶対欠かせない。お正月といえばお節と雑煮、というような感じだ。そこに、野菜料理が入ったり、デザートにパンプキンパイを食べたりする。 サンクスギビングディナーは家族それぞれの味がある。我家は10年ぐらい前にニューヨークタイムス料理セクションに掲載されたレシピを使っていて、これが家族やゲストに大好評! 今回のNYキッチンは、我家のメイキング・オブ・サンクスギビングディナー。 ![]() メインの七面鳥もさることながら、ディナーでの一番人気は実はスタッフィングだったりする。 このスタッフィング。内蔵を取り出した後の七面鳥の中に小さくちぎったパンを入れて、オーブンで焼いている時に出て来る肉汁をパンにしみ込ませ、七面鳥が焼き上がったら、お腹の中から肉汁を吸い込んだパンを取り出し、これまた肉汁を使って作るソース、グレイビーをかけて食べる料理。 我家のスタッフィングはこんな感じ。材料は、パン、洋梨、ベーコン、タマネギ、シャロット、マッシュルーム、チャイブ、タイム、イタリアンパセリ。パンを1日外気に触れさせて乾燥させた後細かく切り、同様に他材料も小さく切ったり、みじん切りにしたり。パン以外を別々にバターでいためる。で、本来ならこれを鳥の中に入れて調理するところだが、我家は、スタッフィングを鳥の中に入れて焼かない。 七面鳥って、結構ぱさつきがちな肉で、調理中に肉汁がパンに吸い込まれてしまうと、肉のジューシーさが更に奪われてしまう。 それで、炒めた材料とハーブをパンに加え、チキンスープを上からかけてパンに吸い込ませる。これをマフィンの型に入れてオーブンで焼く。パンにスープ、バター、他材料からの汁がしみ込んで、こんがり焼き上がったスタッフィングは、梨の甘さも加わって美味!このスタッフィングの上にグレービーソースをかけたら、もうそれだけで、鳥食べずして、このまま終えても良い、と思うぐらいいける。 ![]() 野菜料理は、今年からブルッセルスプラウトを使う料理にしてみた。これは数日前にニューヨークタイムス料理版にあったレシピ。 まずスプラウトを千切りにして、レモン汁で和え、バターとオリーブオイルで炒めたところにガーリック、パピーシードを加えて白ワインで香り付けして、さらにレモンの皮をちらす。レモン皮の黄色がテーブルに映える。 実は去年までは、パプリカの赤、黄、オレンジ三色(まさにサンクスギビングカラー)を使ったピクルスタイプの料理を出していたのだけれど、子供達から不評。10数年間、あまり好きじゃないけどゲストが好きだから我家の子供達は黙って食べていたらしい。 去年までゲストをお招きして結構な人数のディナーをしていたけれど、今年は原点に戻って、我家4人と近くに住む主人の母5人のディナー。 じゃあ、子供達も喜んでくれる料理をと、今年から急遽、野菜料理を変更。変更といえば、ヤム芋料理も。我家は、ハラペニョを入れて、大人向けの味付けにしていたけれど、ゲストから好評なものの子供達から不評だったので、今年から皆大好き、マッシュポテトに変更。 ![]() デザートは、パンプキンパイ。このレシピは、我家と20年間のお付合いがある、メキシコ人のヘルパーさんが教えてくれたもの。 スイーツがいたって苦手な私は、ベイキングをしないので手順が悪いが、このパイのレシピはホント簡単! カボチャ(米国パンプキンよりカボチャの方が甘くて美味しい)を茹でて皮を向き、卵、砂糖入りコンデンスドミルク、生姜汁、ナツメグ、シナモン、牛乳ちょっと、ブラウンシュガーちょっとを加えてミキサーに入れる。トロトロになったらパイ生地に流し込んでオーブンで焼くだけ。こんな簡単でびっくりするぐらい美味しい! ![]() さて七面鳥。私は、この肉が実はとっても苦手なのだ。好きな肉ランキングがあったら、七面鳥は最下位に来るだろう。独特なにおいがあって、鶏肉のようなしっとり感もない。でも「替わりにチキンにしようよ」とサジェストしてもアメリカ人家族からは即却下されるのが判っているので、このにおい&パサパサをどう克服するか、で、これまで色んなレシピを試して来た。 しっとり感を出すために欠かせないのがブライニング。焼く一日前に、肉を丸ごと砂糖と塩を溶かした水に入れて一夜寝かす。我家は、ブラックペパーコーンやベイリーフ、酢も入れる。独特なにおいもブライニングすることで中和される。 スタッフィングを鳥の内蔵部分に入れないかわりに、我家は、リンゴ、セロリ、ハーブなどを入れる。野菜、果物から水分がたんまりと出る。外の皮はオリーブオイルをたっぷりと、塩、ブラックペパーで揉み込み、ベーコンを巻き、ローズマリーを添えて焼く。 こうやってようやく私も、七面鳥を食するのが楽しみになった。そして、グレービーを上からどばどばかけて、うーん、これこそサンクスギビング! ![]() 朝10時から、子供達と材料を切り始め、鳥が焼き上がって食卓に上がった時は、外はもう夜。 赤ワインと一緒に、さあ、今年も感謝の食事に乾杯! (次回は、12月20日にポスティングします。イボンヌ&ジョシュのこだわりキッチンです) * サンクスギビングー17世紀にヨーロッパ人の移民が、アメリカンインディアンから地元の農業を伝授され、実った作物を作って、アメリカンインディアン達をディナーに招き感謝の意を現したのが始まり。七面鳥を食べるようになったのは19世紀になってかららしい。 ![]() 今回の『NY:お宅キッチン拝見』は、クレア&クリスのお宅。グルメ専門誌『ボナペティ(Bon Appetit)』や『セイボァ(Saveur)』を愛読し、美味しいお店があると聞くと、クィーンズだろうが、ロングアイランド・シティであろうが車を走らせる。 時には自宅に100人を招いてパーティをする彼らは、5年前に一年かけてキッチンを大リノベーション。 キッチン、食へのこだわりを、クレアに聞きました。 キッチンで一番のお気に入りは? キッチンからの外の眺めです。キッチンに窓はないけど、リビングの窓と向かい合わせに鏡があって、キッチンにも外の光が入ってきます。 キッチンリノベーションで一番こだわったところは? キッチンとダイニング間の人の流れを良くすること。それでカウンターをなくしました。ゲストが来るとまず始めにドリンクをオファーするでしょう。で、そのままキッチンで他のゲストと話し始める。カウンターがあると袋小路で、人の流れがキッチンで止まってしまうの。 カウンターを失くすことのデメリットはどうやって補ったの? カウンターがないと収納スペースが減るし、ダイニングからキッチンが丸見えだと、フォーマルディナーの時に興ざめなので、縦に収納スペースを確保し、ダイニング側から半ドアを閉めて二部屋間のデバイダーの役割をするものを作りました。 食材選びに気をつけていることは。 確かな素材を使っている高品質なもの、色々な種類を試すし、本場もの、に、こだわっています。あと旬の食材を買うように心がけています。新鮮で旬のものを身体に入れたいですよね。 どこで食材の買い物をする? 「本場もの」を買う、というのは、例えばイタリアンの食材を買うならイタリアン専門店へ。我家の近くでは、ブルックリン・ラーダー(BKLYN LARDER)へ。アジアの食材は、中華街やそれぞれの国の食材専門店に行くようにしています。あとは地元ビジネスをサポートしたいので地元の肉屋、魚屋なども。ユニオンマーケット(Union Market)は総菜、オーガニック、高品質の食材を置いているので重宝しているわ。あとはホールフーズです。 家では何料理を一番頻繁に作りますか? 一番よく作るのは、中華、イタリアン、メキシカンとアメリカンかな。 ![]() 日本食は作ります? 作るとしたらどんな料理? 私達は日本食が大好きなので、家で時々作りますよ。月一ぐらいかな。カレーライス、親子丼、餃子、唐揚げなど。クリスはラーメン好きが高じて、ラーメンスープを自分で作ります。レシピーは、和食クッキングブックやインターネットなどのを使っています。和食レストランにも良く行きますよ。隔週ぐらいでいっているかな。寿司、焼き鳥、ラーメンとか。今、ブルックリンに和食屋が増えているので、和食ファンの我家族が行ける回数が増えてとっても嬉しいわ。 日本食が好きな理由は? 私(中国系アメリカ人)は中華料理中心の食事で育ったので、肉が少なくて、ご飯を食べて、醤油の味付けという食事に慣れていました。日本食は、私にとって、慣れ親しんだ料理の延長線、という感じかな。主人(白人)は、昔から日本の文化に興味を持っていました。音楽、食事などもね。彼は日本食スーパーに行くと、必ず買って来る煎餅があって、店の在庫を一掃しているんじゃないか、と思うほど、その煎餅を買ってきます。 最後に。NYで一番好きなレストランはどこでしょう。 うーん。それは難しい! 好きなところが沢山あるもの。でもやっぱりブルックリン。ウィリアムズバーグのRoberta’sと、パークスロープのFranny’sかも。この二店は、ニュースタイル・ブルックリンレストランの真髄!二店とも本格釜焼きイタリアンピザも出すイタリアンだけど、いわゆる普通のイタリアンではなくて、素材は常に新鮮で高品質のものを使い、メニューは毎日変って、それをカジュアルなセッティングで出す。いつも何か新しいことにチャレンジしているのを感じるの。行く度に美味しくて、しかも驚かせてくれます。 ![]() 皆さん。こんな気分になったことはないでしょうか。今、目の前にある食事。それなりにとても美味しい。美味しい通信簿があったら5のうち3.5ぐらい付けちゃおう。でも、また戻りたいか?と聞かれると、「うーん。次に友達と出かける時は新しいところを試してみたいな」と思ってしまう。 これは女性特有なのだろうか。 主人は、自分のお気に入り店に行き続け、新規開拓には、あまり興味がないようだ。それとも、私は、何度でも通いたくなる店にあっていなかったのか。(さして美味しくないけれど、生粋ギリシア系ニューヨーカーのオーナーがいるダイナーは好きで週末になると行く)。 今回は、前回の『フランクリンアベニュー、食ルネッサンス』の続編。で、今回は、続々オープンするレストランの中から、戻りたくなる私のお気に入りの二店をご紹介します。 まず『CAFE FORTE』。私は、ここのサンドイッチに度肝を抜かれた。 正直、サンドイッチに対して「おいしい!」とは思ったことはあれど、あまりのおいしさにうなったことはなかった。 サンドイッチはランチで手早くぱっぱと食べられる軽食、というイメージがあるので過度の期待もない。ところがここのサンドイッチは、具材一つ一つが個性豊かで味も絶品ながら、他の具材とまとまった絶妙なバランスがある。 アルゼンチンサンドイッチを食べてみた。まず自家製ローストビーフの味と歯ごたえに微笑み、レリッシュの味付けも甘すぎず酸っぱすぎず旨味を感じ、野菜は新鮮で甘みがあってしゃきしゃきと、そして自家製のパンはサワードウをチョイス。 実は、私、グルテンの存在がとっても気になっているのと、バターやミルク、砂糖まで一緒に入ってきちゃうパンが今一好きになれない。美味しい、とは思うのだけれど、あまり身体に良さそうではない。中学生の時にクリームパンをランチにしていた自分が信じられない。でも、ここまで美味しいサンドイッチだったら、グルテン云々はとりあえず置いておいて、頬張ってしまう。 オーナーシェフは、野菜は地元農家から、肉や乳製品は、近郊の家族経営農家から直接仕入れ、具材は一つ一つ時間をかけて作っている。時間に追われて生活している私達は、食事もパッと食べて次の行動に移る。でも食べることって本来、大地からの恵みをゆっくり調理し身体の中に入れることのはず。そう、FORTEのサンドイッチを食べると大地を感じるのだ。店内では若者達がマックを開いてかちかち打っているが、なぜかその空間の時間がまったりしているように感じるのは、この大地感か。 ![]() 次に『Willow』、モダンアメリカン料理。アメリカ料理って、マカロニチーズ、ハンバーガー、ミートローフ等、大胆で大雑把感がある料理が頭をよぎるが、それって昔は、海外で日本食といえば、天ぷら、すき焼き、寿司だったような感じで、今、モダンアメリカンといわれる料理は、多様な食材を使い洗練された味と盛りつけで、NYのレストランシーンで確立した感じがある。アメリカって元々食材は豊富な国で、昨今のヘルス志向、オーガニックブームもあって、モダンアメリカン料理って健康的だ(でも、せっかく穫れたての魚料理を食べても、サイドがバターたっぷりマッシュポテトだと、カロリーがガっと上がるけど)。 モダンアメリカンが珍しくないニューヨークのレストランシーンで、なぜWillowに感動したか、というと、料理がニューヨークの街そのものみたいだからだ (そして価格。同じ内容の食事をマンハッタンで食べたら、もうちょっと高くなるだろうー9月号参照)。 キムチや柚子などアジアの食材を使うのは、新しいことではない。「Shishito pepper(獅子唐)」とか、今や昔の枝豆のように、どこにでもある。 いつものごとく話は脱線して、獅子唐に一言。時々、とっても辛い獅子唐にあたったりするので、やっぱり作っている人が判っているところで食べたいかな、というのが本音。ある時にマンハッタンの和食屋で食べた獅子唐が不味かった! さて、Willowの独特な素材の組み合わせ、例えば、すいかドレッシングをミント豆に、いちごスライスと肉の組み合わせ、みたいな。ポテトピロギは、ロシア料理のこってりソースの替わりに、茹で餃子感覚で食べるとか。発酵鯖も、寿司風に持って行くのかな、と思うと、ちょっとひねったアパタイザーにするとか(ざっくりとした表現なのは、食べている時はワインを飲み、いい気分になっちゃってメニュー通りに覚えておらず。。。すみません)。 この想像外の組み合わせや調理方で、それぞれの素材の個性は保ちつつ、新しい料理になっているのが、まさにニューヨークだな、と思う。様々な人種、一人一人の個性が主張しながら、エキサイティングな街を創りだしているニューヨーク、のような。 ![]() そして、先ほどのFORTEと共通しているのは、地元農家からオーガニックで新鮮な野菜を直接仕入れていること。Willowが仕入れている農家は、ニューヨーク州北部の家族経営農家が集まって立ち上げた組織、『The 607 CSA』の一員。このThe 607 CSAは、レストランやファーマーズマーケットへの販売に加え、直接購入を希望する消費者をシェアホルダーとして募り、メンバーになったホルダーへ、産地から直送する、というシステム。届け先は、指定ピックアップ先で、Willowは指定ピックアップ先として場所を提供している。 早速、私は、秋野菜のシェアホルダーになってみた。今年の11月、12月の六週間の間に、週一回、採れたて野菜が届くパッケージで175ドル。ホルダーメンバーは天候の影響で出来が今一かもしれないなど、リスクを予め承諾しておく。農家はこうやって収入を確保することで、野菜が育てられない冬の収入源にあて、農家はオーガニックな野菜作りに専念することができる。他には卵、ソーセージ、チーズ、きのこシェアホルダープランなども。サイトの写真がほのぼのしていて微笑んじゃいます。11月には、このThe 607 CSAの特集をします。 ブルックリン発信の大地に乾杯! (次回は10月下旬にポスティング予定です) ![]() 8月のレストランウィークも終わり、9月に入って学校の新年が始まり、やっとニューヨークは平常を取り戻した感じ。それにしても、アメリカの夏休みは長過ぎないだろうか。うちの子供達は(15歳と12歳)3ヶ月近く夏休みでグータラ癖から抜け出せるのだろうか、心配。 地元ブルックリンで食事してあらためて思う。おいしいなぁ〜。若手シェフのこだわりレストランが多くて、料理にこだわりを感じるし、値段とクオリティと量がマッチしているから気持ちも満足。マンハッタンって、料理の値段に家賃がかなり反映されてそうで、「うーん、この味の割に、この値段か〜」か、「すっごく美味しい!でも値段もすっごい!」か。これはブルックリン贔屓の私の偏見だろうか。 さて、10年前までは、美味しいベーグルどころかコーヒーも買えなかったクラウンハイツ地区のフランクリンアベニューが、ここ数年で変貌し、今ではお洒落なカフェやレストランが続々オープン。カリビアン料理のGlady’sでゴートカレーとジャークチキンを食べ、韓国フュージョン丼と蒸し饅のBunsmithでお洒落ブルコギを味わい、アジアンタコスのDomo Tacoでキムチフォラッフォルタコスや、レモングラスチキンタコスを。「この味のミックスって本当に美味しいの?」と、オーダー前は若干不安があるが、食べるとその心境が見事に覆される!イタリアンのCent’Anniの自家製パスタは試す価値あり。それとブルックリンでピザといえばWilliamsburgのRoberta’s、も美味しいけど、フランクリンのBarbonchinoのなかなかどうしてかなりいける。7時過ぎると、なかなか座れないので、早めに行くことをお勧めします。クラブ(蟹)ロール専門店のCrabby Shackは、メイン州の蟹肉のロールやサンドイッチが美味。シーズンで、蟹コロッケやチャウダーも出て来て、おいしさにうなる。オーナーは、日系アメリカ人(ハーフの方)で、店内でロールを頬張っていたら、「日本人ですか?」と声をかけられた。そうそう、Cent’Anniのメートルディから、「私の母は日本人なんです」と英語で言われてびっくり。一つのアベニューの数ブロック内の食ビジネスに二人は確立高い。さすがグローバル&ハイブリッドなブルックリン! ![]() 話はそれましたが、、、。 ちょっとお隣のBedford Avenueには、ニューオリンズ料理のCat Fish。ガンボやグリッツとバーボンがあれば、気分はすっかりニューオリンズ。2013にオープンした巨大ビアホールBerg’nは、Brooklyn FleaとSmorgasbergの仕掛人の手によるもの。古い巨大倉庫はモダンデザインですっかり様変わり。ホール内には4軒の食ベンダー。ブリスケットやプルドポークを食べると、アメリカ人のBBQに対する愛を感じる。ソースでぎとぎとになった手をナプキンで拭きながら頬張る肉の柔らかさ。そうそう、アメリカ人は、日本の食堂とかにある紙ナプキンが理解できないのだそう。「紙がワックス加工で、水や油、すいとらない!」だそうです。 他にも美味しいレストラン、まだまだあります。前々回取上げたSilverRiceのチラシを食べると、ホントと質と値段に満足する。やっぱり日本人だから、美味しい寿司だねとご飯はマストだし、かつオリジナリティもある。列を作って順番待ってるニューヨーカーにもそこんとこ伝わっているんだろうな(詳しくはこちら)。 ![]() 我家は一年前にキッチンのレノベーションをして、3ヶ月キッチンが使えなかった。それでも気が狂わなかったのは、フランクリン・アベニュー、食ルネッサンスのお陰。(実はフランクリンアベニューのすぐ側に住んでいます。) しかし。。。ブルックリンの地価も今や上がる一方で、オーナーシェフのビジネスが厳しくならないか、そこは心配。そして、今年、何とフランクリンアベニューにスターバックスがオープンしてしまった!10年前にはベーグルも買えなかったのに、遂に、ビッグビジネスの波が。。。我家はアンチ・スターバックスを貫きたいのに、娘は期間限定ストロベリーフラペチーノにすっかり満足している様子。 次回は、フランクリンアベニュー食ルネッサンスから、私の一番のお気に入り二軒を取上げて、最近の食のトレンドを報告します。乞うご期待! (次回は9月下旬にポスティングします) 今回の『NYお宅キッチン拝見!』は、ジャッキー&アルフレッドのお宅。アルフレッドの父親は料理が大好きで、自宅で色んな国の料理を作っていたとか。 生まれも育ちもニューヨークの、生粋ニューヨーカーの二人はとってもグルメ。食についてのこだわりを、ジャッキーに聞きました。 自宅のキッチンで気に入っているところは? 横3m40㎝、縦1mのキッチンアイランド。夫婦で料理できるし、お友達を招いて話ながら料理もできるでしょう。そして本格的イタリアンピザが焼けるオーブン。インテリアデザイナーが選んだウォールペーパーもキッチンを明るくしたわ。 食材選びに気をつけていることは? オーガニック、新鮮、旬であること!加工食品は買いません。Park Slope Food Coop (通称コアップ–メンバー制のオーガニックストアで、NYオーガニックストアの草分け的存在。メンバー運営なので商品の価格も他オーガニックストアに比べるとお手頃。メンバーの中にはセレブもいる)のメンバーで、コアップでの買い物が中心かな。Fresh Direct(オンラインスーパー。新鮮な食材が売り。ストアブランドも開発している。野菜セクションで『アジア野菜』が独立したカテゴリーで売られていて、ニューヨーカーのアジア料理の興味度が読み取れる)からも買いますよ。 作る料理は? 料理が好きな主人と、日曜日に一週間分の夕食を作ります(平日は働いている)。でも総菜屋で買って来ることもあるし(NYではヘルシー総菜屋が増えている)、私の友人が始めたBlue Apron(献立に合わせた食材を送ってくれる、という主婦にとって有難いサービス。おまけにシェフの献立で食材は新鮮。忙しいニューヨーカーに重宝がられているサービスだ)を利用する時もあるし。 作る料理は、主人がイタリアに住んでいたこともあってイタリアンが中心かな。時々日本食も作りますよ。 どんな日本食を作るの? 生姜焼き、揚げ出し豆腐、トンカツとか。日本食は、献立によって日本食スーパーに行かないと材料が揃わない時があるから、作るときはレシピ分量の二、三倍作って冷凍します。マンハッタンのサンライズマートで日本食材は調達するけれど、以前に比べると、アメリカのスーパーでも買える所が増えたわ。 ![]() 日本食を自宅で作る様になったきっかけは? ウィルム(長男–10歳)が小さかった頃、軽症な小麦アレルギーだったのでパンやパスタは食べれなかった。その時に、おにぎりや丼ものを作ってみました。栗原はるみの本を始め、和食クッキング本も結構揃えたのよ。日本食を自宅で食べるようになって、今や我家は大の日本食ファン!子供達は学校に弁当ボックスを毎日持って行きます。そうそうおにぎりを自分で作るのだけど、くっつかなくてポロポロくずれるのは何でかしら。だから私はおにぎり型を使っています。 日本食が好きな理由は? ヘルシーでとても美味しい! プレゼンテーションが美しくて視覚にアピールするわ。あと時間をかけて食べるから会話も弾むし身体にも良いし、食べた後に胃に重くないのも良いですね。 ![]() NYで好きなレストランを一つ挙げてください。 それは難しい質問だわ。例えば家族で行く時と主人とデートする時では行く所が違うし。 家族だったら居酒屋のGanso Yakiとかマンハッタンのコリアン・タウン(ウエストサイドのミッドタウン数ブロックにまたがる韓国街)の店とか。でもブルックリンWilliamsbergのRoberta’sが一番かな。 主人とのデートナイトで一番のお気に入りはSushi Seki。あそこの寿司は絶品です。 ![]() NYママのキッチンレポートの新しいインタビューを掲載しよう、としたところ、一昨日NHK「クローズアップ現代」で「人気の和食ブランド新戦略」を見て、ちょっと思うことがあり、突如番外編を入れることにした。番組の内容は、世界中で和食レストランは激増しているものの、その大半が外国資本で日本産の食品の輸出は横ばい。日本産食品の輸出を伸ばして日本経済に何とか恩恵を、というもの。 番組では、和食にこだわっていたけど(「和食ブランド新戦略」がテーマだし)、日本産食品を海外にもっと広めようと思うなら、和食以外のレストランにアプローチする方が絶対マーケットは大きい。ご存知の通り海外の有名シェフは日本の食材を沢山使っている。 もし和食店にこだわれば、高級和食店ならともかく、居酒屋(出汁は日本の食材でとって欲しいけど)とか、大衆料理で、日本からの食材を使うのって、コストあがってしまいそう。それに現地の食材を使う方が、現地からの受けも良い。 話はちょっと逸れますが、NYでは、日本食の名が付いたら売れると判っている他アジア出身の現地の人達が経営しているカジュアル日本食店が多い。ある日チェルシーのファーストフード的なKobeyaki(丼、巻き、うどん/ラーメン、バーガーを売っている自称日本食屋)で、ラーメンを食べたら、うどんの汁にラーメン玉を入れているだけという、すごいものだった。でも、NY口コミサイト「Yelp」では4星が付いている(最高5)。この店のオーナーは、ランチやスナック感覚で日本食を食べたいという、現地のマーケットのニーズを理解している。日本人からしたら、「これを日本食って呼んで欲しくないよ」と思っても、現地で受けているんだからビジネスとしては成功だ。 逆に、日本の外食産業がNYにもっと大胆にビジネス展開したらどうなんだろう。例えば「大戸屋」はNYに出店していて予約もなかなか取れない人気店になっている。日本食が受けるのは、うまみ、美味しい、ヘルシー(ラーメン、カレーライスはヘルシーフードではないけど、最近は米粉ラーメン乾麺とかも売られたりして、グルテンフリーでますますヘルシー)、そしてCool。 あんまり「日本食」にこだわらないで、ヘルシー路線でNY展開したら受けそう、と勝手に思っているのが、「Soup Stock」。フォーミュラがあってスケールアップできそう。CipotleやCosiみたいなお洒落なヘルシーランチ/夜食系で、NY各エリアにあってもよさそうな気がする。あと「旬菜食健ひな野」みたいな総菜豊富なイータリー。以前、湘南の実家近くの同店にアメリカ人の主人を連れて行った時、もの凄い喜んで食べていて、「こういうのがNYにあったら良いよね〜」とボソッとコメント。 ![]() そうそう突然ローカルになりますが、日本人の経営で、美味しい寿司(他茶漬けなど)を新しい形で出しているな、と思うのが、ブルックリンのSilver Rice。カップ寿司もあり手軽で、シンプルなお洒落な店内は、カウンター越し販売でウエイターは不要。こういう手軽感に目を付けたのは流石!具材も白米以外にFlax seedを使い、現地のヘルシー志向に対応して毎日盛況。こういう斬新なアイデアってニューヨーカー、大好きです。 東京にオープンするNYのお店が、なんだかスイーツに偏っている気がするが、ニューヨーカーはとってもヘルシー志向なのだ! 日本食品をどうやったら海外へ、という始まりからちょっと外れたけれど、ヘルシーで締めくくり。先日自宅近くのファーマーズ・マーケットへ。色鮮やかな野菜や果物がカラフルに陳列され、その日に穫れた魚を売るベンダーもいつも長蛇の列。この活気、ウキウキしてくる! |